LOGIN冷徹で有名な議員秘書、近江隆之介は、新入事務員の高梨小鳥にエレベーターで一緒になり一目惚れする。そんな二人が新人歓迎会で出会い、小鳥は泥酔状態。そのまま二人は一夜を過ごすが、なんと同じマンションに暮らす隣人だった!近江隆之介は自分の身の上を隠し逃げ惑う。小鳥は、顔を知らない一夜の相手を探して右往左往。二人の恋の行く末は。
View More桜の花びらが舞う金沢の夜、薄暗い部屋にウィスキーの琥珀色の香りが漂う。あの春、近江隆之介の低く熱を帯びた声が響いた。「小鳥、お前が好きだ。覚えておけ。」 その言葉は高梨小鳥の心を捉え、時を止めた。二人の鼓動が夜の静寂を刻み、愛は確かに芽生えた。 それから三年。議員秘書から金沢市議会議員へと姿を変えた近江隆之介は、街頭で「金沢城を世界遺産に!」「市民の暮らしを守る!」と訴える。傍らで小鳥はのぼり旗を握り、車窓に向け笑顔を振りまく。 もうすぐ市議選。宿敵の楠木大吾との一騎打ちが待つが、隆之介の背後にはいつも小鳥の温かな眼差しがある。「小鳥」「ん、なに?」 照れくさそうに鼻先を掻き、近江隆之介は呟く。「やっぱり、お前が好きだ。」 小鳥は笑い、「あの夜のこと、急にね!」と返す。あの春、偶然の夜を共にした二人は、今、金沢市議会のおしどり夫婦と呼ばれる。二人の愛は、息子・ひなたに受け継がれる。 ひなたは近江隆之介のチラシにマジックで落書きし、得意げに笑う。その姿は、かつてライバルのチラシに鼻毛を描いた近江隆之介にそっくりだった。小鳥は腹を抱えて笑い、隆之介は優しく見守る。金沢の古い街並みを背景に、家族の笑顔が響き合う。琥珀色の記憶は色褪せず、愛と希望を未来へ紡ぐ。 隣の彼たちと一緒に。
妊娠5ヶ月目。小鳥のお腹が少しずつ目立つようになり、近江隆之介は毎晩お腹に話しかけるのが日課になった。「よーし、バブバブ!パパは金沢の未来を担う男だぞ!お前も立派な金沢っ子になるんだ!」小鳥は笑いながら「隆之介さん、赤ちゃんに議会演説しないでよ」と突っ込む。この頃、夫婦で赤ちゃんの名前を考えるのがブームに。近江隆之介は「金沢らしさ」を重視し、「兼六(けんろく)」や「輝(かがやき)」を提案。「兼六って、兼六園みたいでいいだろ?観光大使にもなれる!」「隆之介さん、名前で観光PRしなくていいの!もっと可愛い名前にしてよ!」 小鳥は「ひなた」や「さくら」を推すが、近江隆之介は「それじゃ全国どこにでもある!」と譲らない。ある夜、夫婦で名前リストを100個以上書き出し、ついに大ゲンカに発展。「小鳥、名前は一生ものだぞ!金沢の誇りを背負うんだ!」「隆之介さん、赤ちゃんが兼六園の看板背負って生きるわけじゃないでしょ!」 仲裁に入ったのは、久我今日子。呆れて物も言えないという顔をしている。「あなたたち、名前でケンカしてる場合じゃないわよ。性別分かったらまた変わるんだから!」 そう、性別判明の日が近づいていた。近江隆之介は「男なら兼六、女なら茶々(金沢の歴史上の人物、茶々姫から)」と意気込むが、小鳥は「絶対普通の名前にする!」と宣言。夫婦のバトルはさらにヒートアップした。 出産当日、最大の試練妊娠9ヶ月目。小鳥のお腹は立派なボールになり、近江隆之介は議会中も「もうすぐパパ」とソワソワ。だが、出産予定日が近づくにつれ、小鳥の不安も増す。「隆之介さん、ちゃんと立ち会ってよね。私、怖いよ・・・」「任せろ!俺は金沢市議だ!どんな試練も乗り越える!」 口では強気だが、隆之介は内心ビビりまくり。YouTubeで出産動画を見ては「うわ、こんなに大変なのか・・・」と青ざめる。そして運命の日。夜中に小鳥の陣痛が始まり、近江隆之介はパニック状態で病院へ。だが、運転中にナビを間違え、なぜか金沢城公園の駐車場に到着。「隆之介さん、ここ病院じゃないよ!?」「ご、ごめん!すぐ行く!」なんとか病院にたどり着いたものの、近江隆之介は立ち会い中に緊張で貧血気味になり、看護師に「パパさん、座ってて!」と椅子に押し込まれる。数時間の壮絶な陣痛の末、小鳥は無事に男の子を出産。赤ちゃん
金沢市議会議員、近江隆之介は、今日も市役所の会議室で熱弁を振るっていた。テーマは「金沢の伝統工芸を若者にどう伝えるか」彼の人懐こさは市民からの人気も上々で、支持者も増えている。 しかし、彼の人生が一変する出来事が、この日の夕方に待ち受けていた。近江家は、金沢市内の閑静な住宅街にある一軒家に住んでいる。妻の小鳥は、元気で少し天然な性格の持ち主。彼女は地元の小さなカフェでパティシエとして働いており、彼女の作る加賀棒茶のシフォンケーキは地元でちょっとした名物だ。その日、近江隆之介が議会から疲れて帰宅すると、リビングで小鳥がソファに座り、なぜか神妙な顔で小さなプラスチックの棒を持っていた。「隆之介さん、ちょっと座って。重大な話があるの!」 小鳥の声はいつもより1オクターブ高く、近江隆之介は一瞬「また何かやらかしたか?」と身構えた。小鳥は過去に、洗濯機に赤い靴下を混ぜて隆之介の白いシャツをピンクに染めたり、議会用の資料を間違えてシュレッダーにかけたりした前科がある。「なんだよ、小鳥。まさかまた俺のスーツを縮めたとか言うんじゃないだろうな?」 近江隆之介が半笑いで言うと、小鳥はムッとした顔で棒を突き出した。「これ見て!プラスよ!プラス!」 近江隆之介、棒をじっと見つめる。棒には小さなディスプレイがあり、確かに「+」のマークが。「・・・プラス? 電卓でもないのにプラスって何? まさか」 近江隆之介の顔がみるみる青ざめていく。「小鳥、これ・・・妊娠検査薬!?」「そうよ!隆之介さん、私、妊娠したみたい!」 その瞬間、近江隆之介の頭の中で金沢城の石垣が崩れ落ちる音がした(比喩)。彼は議会でどんな難題にも冷静に対応してきた男だが、この「妊娠」という二文字には完全にノックアウトされた。「やった!やったぞ!俺、父親になるのか!」 喜びの雄叫びを上げた直後、彼は勢い余ってソファから転げ落ち、テーブルに置いてあった小鳥の手作りクッキーを床にぶちまけた。「隆之介さん、クッキー!私の新作の加賀棒茶スペシャルが!」「ごめん、ごめん!でもクッキーより赤ちゃん!赤ちゃんだよ、小鳥!」 こうして、近江家の新しい物語が始まった。金沢の街を背景に、近江隆之介と小鳥のドタバタな妊娠・出産劇が幕を開けたのだ。 妊婦生活は想定外の連続妊娠が分かった翌日から、小鳥の生活は一変し
楠木大吾のキャンペーンは、まるでスタートアップ企業のプレゼンのようだった。「私たちはスマートに、データ駆動型でいく。金沢の課題は子育て環境と安定した老後。そこを押さえて、若者と高齢者、両方の心をつかむんだ」 インフォグラフィックを使った政策説明、インスタライブでのQ&A、そして地元YouTuberとのコラボ動画。対する隆之介は、昔ながらの街頭演説とビラ配りに全力を注いでいた。そこには新妻の小鳥の姿もある。選挙カーのマイクを握り、「金沢の魂を俺に預けろ!」と叫ぶ姿は、まるでプロレスラーの入場シーンだ。 近江隆之介のキャンペーンは予想外の苦戦を強いられていた。演説は熱いものの、政策の具体性が乏しく、若者からの支持が伸び悩んでいた。「金沢をデカくする!」というスッキリしすぎるスローガンも、市民には「具体的には?」と突っ込まれがちだった。 ある日、小鳥が事務所にやってきた。手に持っていたのは、和菓子屋「加賀の月」の新作スイーツ「五色だんご」。金沢の伝統的な五色生菓子をモチーフに、赤・白・緑・黄・紫の小さな団子が串に刺さっている。パッケージには「みんなで笑顔!」と書かれた可愛いシールが貼られていた。「隆之介さん、これをみんなで食べたらどうかな? 甘いもの食べて、元気が出るよ!」小鳥はニコニコしながら提案。隆之介は最初、「そんな子供だましで人が喜ぶかよ!」と鼻で笑ったが、試しに駅前で仲間と一緒に食べてみると・・・みんなの笑顔が広がり、効果は絶大だった。「これ、めっちゃ美味しい!」 市民たちが団子を頬張りながら、小鳥と隆之介の楽しい会話に耳を傾けるようになったのだ。しかも、小鳥の明るい笑顔と丁寧な接客が、年配の方々の心をガッチリ掴んだ。「小鳥、お前・・すげえな・・・」 近江隆之介は妻の活躍に目を丸くした。「えへへ、ただお団子焼いてただけだよ」 小鳥は照れ笑いしたが、彼女のアイデアは確実に票を動かし始めていた。 テレビ討論の大波乱選挙戦の中盤、候補者たちによる公開討論会が金沢市内のホールで開催された。楠木大吾はスーツ姿でクールに政策を語り、子育て支援やデジタル化のビジョンを分かりやすく説明。会場は拍手喝采だ。一方、近江隆之介は・・・。「金沢はもっと熱く、もっとデカくなきゃダメだ! 俺は金沢城を世界遺産に登録させ、観光客を倍増させる!」 隆之介はマイクを
小鳥は地下一階の職員食堂でランチB定食を食べていた。と、ここで何やら視線が痛い。いつもの女性職員のイケメン発言かと背後を振り返ったが違う。(何?) 数名の男性職員と目が合った。小鳥のトレードマークだったフレームレスの冷ややかな眼鏡は無く、耳元にはプラチナの台座にムーンストーンの小さな石を嵌め込んだピアスが光っている。小鳥は近江隆之介に振り向いて貰いたいが為に、眼鏡をコンタクトに変えて耳にピアスの穴を開けた。(か、可愛いな)(意外とイケるな)(あ、あぁ、可愛い) 周囲をキョロキョロと見回すが彼らの視界に入る女性は小鳥だけだ。間違いない。その囁き声は小鳥に向けられたものだ
小鳥はもう何十分も事務職員専用のパソコンと睨めっこしていた。先週に行われたデモ行進とその後のビラ配布の画像の中から、facebookに掲載する画像をあれこれと選択していたのだ。 動きのある被写体の写真撮影には慣れておらず、風景やアングルが良くても狸の田辺議員の顔が半分に切れていたり、爽やかイケメンの藤野議員の目が白目を剥いていたりと散々な出来栄えであった。「やばい、やばい。これじゃ更新出来ないぃ」 すると小鳥がソイラテを頭の天辺に被る直前に、公道に手を振る近江隆之介の横顔が一枚紛込んでいた。顎から頬骨に掛けてのスリムなライン、薄い唇。(このアングルいい!めっちゃ格好いい!)
そこには額に汗を滲ませた近江隆之介が息を切らせ、小鳥の背中に濃灰に細い黒のストライプのジャケットを掛けていた。「ちょ、おま。おまえ何処ほっつき歩いてんだよ」(お、おま、え?)「これ、被れ」「え、いえ。あの、スーツ。汚れます、よ?」「いい、被ってろ。これから家、帰るんだろ?」(あれ?何で家とか・・・藤野さんとかに聞いたのかな) 近江隆之介は市役所方面へ向かうずぶ濡れの小鳥の背中を見て、あぁ自宅に帰るんだろうと思い、その後を追って来たのだ。不思議そうな顔をする小鳥を他所に、近江隆之介はスラックスのポケットに手を入れ、スタスタと歩き出した。彼は小鳥の手前を歩き、濡れたカッタ
土曜日の13:30、高梨小鳥は緊張していた。 先週、小鳥が金沢中警察署の交通課に申請した”道路使用許可証”を利用して、金沢市で一、二を争う香林坊三叉路の百貨店前から、武蔵ヶ辻交差点近江町市場前までの百万石大通りを”ゴミ処理場設置反対”を訴えるデモ行進に参加するからだ。 自主党の狸の田辺五郎議員、藤野建議員は先頭で横断幕を持ち声を上げる。小鳥はその姿をカメラに収める為、白いブラウスと黒いパンツ姿でその列の歩道側に並んだ。(えぇぇぇ、こんな事までするのぉ) そしてその日、その時間帯、国主党の久我今日子議員は近江隆之介が申請した”道路占領許可証”を利用し、金沢市で一、二を争う武蔵ヶ辻交差